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【ポケモンスカーレット/バイオレット:S12R2003&最終341位】彪双剣『A & C』~Dual-wielding style

 

おはようございます。こんにちは。こんばんは。ポケモンエンジョイ勢のpoke_jinと申します。

 

今回はポケモンスカーレット/バイオレット(以下SV):S12で最終レート2003&最終順位341位を達成した構築を皆様に紹介したいと思います。

 

 

以下常体。一部敬体。

 

 

目次

 

 

 

 

【パーティー構築経緯】

★前編

①S4でレート2000を達成して一定期間経過後、ハバタクカミやカイリュー等を運用しない構築作りに着手。新たに運用したいポケモンを探して構築記事を眺めているとS7最終1位の方のパーティーの中でテツノブジンが目に留まった。ブーストエナジー枠を探していたというのもあって道連れやアンコール等多彩な技を覚えるテツノブジンを独自の型で運用したいと試行錯誤を始めた。

 

②S8においてゴリランダー&グラスシードオオニューラの構築が結果を出した記事が目に留まり興味本位でテツノブジンと共に運用を始めた。当時は大きな結果こそ出なかったもののそのポテンシャルの高さに好感触を抱き何とか活かせないか試行錯誤を増やした。

 

③レギュレーションCで解禁された準伝説ポケモンの中から1体は構築に入れたいと思い色々調べた結果高いSと特性込みで高火力を叩き出せるパオジアンの採用を決定。しかし、筆者の運用が下手だった事が前提の上、テラスタルを電気やゴーストにしても納得いく成果が出ず試行錯誤を重ねた。

 

④上記の4体に対キョジオーンやドヒドイデ+ディンルーの並びを狩る為に身代わり&悪巧み採用の食べ残しウォッシュロトムを、構築単位で苦手なハッサムや特殊全般の受けとして火炎放射を採用した隠密マントヒスイヌメルゴンをそれぞれ採用しランクマに潜り続けるも、ハバタクカミを筆頭にオーガポンやパオジアン等様々なポケモンに上から叩かれたり、ディンルーや赫月ガチグマの高耐力・高火力に跳ね返されたりと結果が振るわなかった。その上カイリューを始めとする電磁波やアンコール等の妨害技使いが環境に塗れこちらの思うような展開をさせて貰えず低迷。それでも試行錯誤を止めず重ねに重ね続けた。

 

★方針転換

試行錯誤を重ねた末ハバタクカミやカイリュー、オーガポンや赫月ガチグマ等を構築へ入れずにレギュレーションE環境で勝つ為に本構築に必要だと思った要点は以下の3点。

・アンコール対策の為に極力能力上昇系の変化技を使わない、もしくは可能な限りアンコール対策を図った上での能力上昇系変化技or特性による能力上昇が可能な構築を作る。

・電磁波(及び塩漬けの定数ダメージ)対策の為に複数のポケモンに身代わりを採用、もしくは電磁波そのものを無効化ないし電磁波によるSダウンを挽回できる特性を有するポケモンを採用する。

・『相手の上から叩く』という基本中の基本に立ち返り、特性によるS上昇ないし先制高火力技を備えたポケモンを多く採用。一部のポケモンにはS上昇を引き継げる技を搭載し、後続の中速ポケモンにS上昇等の恩恵を付与する事でパーティー全体の速度を引き上げる。

これらの要点を構築作りにおける最重要ポイントとしてフィードバックし、構築の再編成を図った。

 

★後編

⑤まずテツノブジンの型を大幅に変更。従来は特殊型にしてアンコールや道連れ等の変化技を搭載していた所思い切って両刀(A>C)型に変更。特殊最大打点となるムーンフォースはそのままにブーストエナジーによるS上昇の利点を活かし電磁波や塩漬けの定数ダメージ等を避ける為に身代わりを採用。その上で叩き落とすを搭載する事で相手の持ち物を喪失させる動きを見せつつ物理ゴーストテラバーストを採用する事で叩き落とすや身代わりとのコンボで相手のハバタクカミやサーフゴーを返り討ちにする戦法を見出した。

 

⑥ゴリランダー&グラスシードオオニューラのコンボ戦術はこの2体の同時選出を強制されてしまうデメリットを鑑み、各々を独立させる選出の方が偽装構築故の型の誤認含めて互いに強みが出ると判断。オオニューラの特性軽業を自発的に発動させる為に猫騙し&ノーマルジュエル型に変更。フェイタルクローやインファイトの他にゴーストテラスタル用としてシャドークローも搭載した。また、当初はゴリランダーに突撃チョッキを採用していたが炎オーガポンに抗う為には高火力が必要不可欠と判断し達人の帯を持たせた岩テラスタル型に変更、同時にゴリランダーより遅いポケモンの変化技を封じる為にチョッキを持たせていた時には採用不可だった挑発を仕込んだ。

 

⑦パオジアンは気合の襷にすると火力が足らず、拘り系アイテムだと融通が利かず。色々改良を重ねた結果命の珠を採用。対ハッサムアローラキュウコンを念頭に炎テラスタルにし、ウーラオスやイイネイヌ・オオニューラへの有効打点として、何より相手の壁展開を破壊する為にサイコファングも搭載した。3割の怯みを押し付ける氷柱落としや先制高火力技である不意打ちも命の珠及び特性災いの剣の火力補助により相当な火力を叩き出せるようになり、特に初手に繰り出した折に相手へ予期せぬダメージを負わせられるようになった。

 

『★方針転換』において纏めた要点を鑑み、ウォッシュロトムとヒスイヌメルゴンを構築から外し新たなポケモンを導入する事を決定。オオニューラの代わりに新たなグラスシード搭載役としてレギュレーションB時代に使いこなせず断念した特性加速を有するエスパトラを再び採用する事にした。アシストパワーを採用する事で特殊積みエースにもなれるクエスパトラのバトンを受け取る枠として前回レート2000を達成した折に運用していた事から多少なりとも手に馴染む、相手からの変化技の殆どをシャットアウトし自身も悪巧みによって更に火力を強化できる食べ残し持ちサーフゴーを同時に採用。

 

上記の再編成によって、

★テツノブジン・パオジアン・オオニューラ3体による物理火力重視型対面構築

★ゴリランダー・クエスパトラ・サーフゴー3体による特殊火力重視型展開構築

この強大な2つの基本選出を構築する事に成功。これ等2つで対応し切れないイレギュラーに対しては構築全体で柔軟に対応する事に努めた。

 

【コンセプト】

★『セレクト【A(Attack)】』:物理火力重視型対面構築

特性や種族値故の高い素早さ&強大な物理高火力を備えつつ、3割ないし5割の追加効果を押し付けて運も手繰り寄せる対面構築3枚で相手を押し切る。

★『セレクト【C(Contact)】』:特殊火力重視型展開構築

グラスフィールド展開によって後続の補助をしつつ、加速瞑想バトンで上昇した素早さ&悪巧みも加えた超特殊高火力展開構築で全抜きを狙う。

★『セレクト【D(Dual)】』:局所対応重視型混成構築

上記の基本選出から外れたルート選出を強いられる場合『セレクト【A】』2体に『セレクト【C】』1体、もしくは『セレクト【A】』1体に『セレクト【C】』2体を加えた混成選出『セレクト【D】』を選出、繰り出す順番や全体の試合の流れを大まかに想定し柔軟な対応を図る。

 

【個体紹介】

★『セレクト【A(Attack)】』:物理火力重視型対面構築

・テツノブジン

クォークチャージ/無邪気/ブーストエナジー/ゴーストテラスタル

159(76)-158(60)-123(100)-156(124)-72-170(148↑)

ムーンフォース/叩き落とす/テラバースト/身代わり

 

努力値調整意図

H:16n-1

A-C:ゴーストテラバーストを物理技にする為の調整且つ可能な限りCを高めた配分。

A:ゴーストテラバーストでH159B89までのハバタクカミを確定1発。

C:ムーンフォースでH197D121カイリューをマルチスケイル込みで確定2発。

H-B:A200連撃ウーラオスの水テラスタル水流連打を90.75%で耐え。A186カイリューの鋼テラスタルアイアンヘッドを87.5%で耐え。

H-D:ゴーストテラスタル時C179ハバタクカミのムーンフォースを確定耐え。C187ハバタクカミのムーンフォースは75%で耐え。

S:最速ガブリアス抜き。

※役割:初手(主にドヒドイデモロバレル・炎オーガポン以外の初手が出て来ると想定できる時)>2番手or3番手(こちらの初手がパオジアン時の後発であるケースが大半を占める)

 

本構築の始点。テツノブジンを独自の型で活躍させたいという想いが今回のレート2000達成に繋がったと言っても過言では無い。

運用当初はムーンフォース/波動弾/道連れ/アンコールという妨害技を備えた特殊型だった。そこから対サーフゴー対策の為にシャドーボールを入れてみたり毒テラスタルを切ってくるウーラオス対策の為にエスパーテラスタル&サイコキネシスを搭載してみたり等々迷走を重ね、今月初旬には性格臆病でムーンフォース/叩き落とす/身代わり/道連れという型を運用、身代わり状態で道連れを選択する事で赫月ガチグマのハイパーボイスを食らいながら1:1交換を果たす等面白い動きも出来たが結局ハバタクカミ辺りに何も出来ず。炎オーガポンやサーフゴー相手に身代わりと道連れを絡めながら対処しようとするも動きを見破られ呆気なく倒される等散々な目に遭った。

 

そこで今月中旬に入る前に今までの運用で築いてきたテツノブジンへの先入観・固定観念を一度全て捨てる事を決意。テツノブジンの強み・弱み全てを真新しい気持ちで分析し、現環境において最も輝ける型は何なのか考察に考察を重ねた。レギュE環境で戦うにあたってハバタクカミやサーフゴーを避けては通れない。これ等に為す術も無く敗北する型に活躍など望むべくもない。必要なのは状況次第で返り討ちにでき、従来の役割対象の多くにも十分な働きをこなせ、且つ不足する部分は構築全体でカバーし、逆に他メンバーで不足する箇所を埋められる役割をテツノブジンがこなせる調整と戦術。具体的には以下の5点。

①ハバタクカミを落とす為にゴーストテラスタルor鋼テラスタルの物理テラバーストが欲しい。

②初手に対面した拘りスカーフ型連撃ウーラオスの水テラスタル水流連打をほぼほぼ耐えられる耐久が欲しい。

カイリューをマルチスケイル込みの与ダメージ含む確定2発で倒せる特殊火力が欲しい。

④ブーストエナジーによるS上昇したテツノブジンを縛る神速を抑制できるテラスタイプであって欲しい。

⑤相手の電磁波や塩漬けの定数ダメージを避ける技が欲しい。

これ等の要点を様々な角度で思考した末に行き着いたのが『(状況次第で)ハバタクカミやサーフゴーを返り討ちに出来る物理耐久調整両刀型@身代わり』という調整であった。例を2つ出す。まずは対ハバタクカミ。

 

※例1…初手における対ハバタクカミ

自軍:初手テツノブジン

相手:初手ハバタクカミ

 

ケース1…両者共ブーストエナジーが発動しS順がテツノブジンの方が先であると判明した場合

⇒ハバタクカミの初手は電磁波であると断定。テツノブジンは身代わりを置き電磁波を回避。次ターンにゴーストテラスタルを切り、物理ゴーストテラバーストでハバタクカミを落としに掛かる。耐久調整によってはハバタクカミが耐えて来るケースもあるが8、9割程の与ダメージを与えられるので、3ターン目にトドメを刺す。こちらは身代わり1回分の被ダメージでハバタクカミを突破する事となる。

 

ケース2…両者共ブーストエナジーが発動しS順がハバタクカミの方が先であると判明した場合

こちらは迷わず初手でゴーストテラスタルを切り物理ゴーストテラバーストでハバタクカミを落とす。こちらより速いハバタクカミはまず物理ゴーストテラバーストを耐えられない。相手の選択は大体が電磁波。故に7割勝負でハバタクカミに勝てる。仮にムーンフォースを撃ってきても、両刀故にD下降補正の性格ながらC179までのムーンフォースまでなら確定で耐えられる。麻痺によるSが1/2になってもブーストエナジーによるS上昇がある為遅いカイリューくらいまでなら抜けている。

 

ケース3テツノブジンのブーストエナジーが発動しハバタクカミのブーストエナジーが発動しない場合

⇒考えられる可能性は気合の襷or木の実or拘り眼鏡型(拘りスカーフ型は勝てないのでそもそも考慮しない)。型判別の為に初手は身代わりを置く。ハバタクカミ側の行動が電磁波である場合気合の襷or耐久調整を施した木の実型だと判定し叩き落とすを選択。道具を判別した後にゴーストテラスタルを切る。一方ムーンフォースを撃ってくる場合は拘り眼鏡型であると断定。次ターンにゴーストテラスタルを切りハバタクカミを落とす。

 

次に対サーフゴー。

 

※例2…初手における対サーフゴー

自軍:初手テツノブジン

相手:初手サーフゴー

 

テツノブジン側は迷わず身代わりを押す。相手が電磁波を撃って来た場合はゴツゴツメット等を所持する耐久調整を施した硬いサーフゴーであると断定。次ターンに叩き落とすを撃って型判別、3ターン目にも身代わりを撃って電磁波か攻撃技かを見る。この時結構な頻度で電磁波を撃って来るので身代わりが置ければアドバンテージを取れる。HB重視のサーフゴーは叩き落とす+物理ゴーストテラバーストでも落とせない事が多いので身代わりを置くタイミングがとても重要。

逆に初手にゴールドラッシュを撃って来るサーフゴーは拘りスカーフor拘り眼鏡型であると断定。次ターンも様子見で身代わりを撃つ場合もあるが、どちらにせよこの対面でテツノブジンがサーフゴーに勝つ事は出来ないので大人しく叩き落とすでサーフゴーの道具を喪失させ、後続に控えるポケモンが有利に動けるように努める。

相性上不利な相手故に必ず勝てるという保証は無い。しかし、為す術も無く敗北するような型では無くなり、逆に状況次第で返り討ちに出来る型に仕上がった為に、以前変わらぬ役割対象への働きも相俟って選出率が飛躍的に高まった。フェアリー・格闘の複合タイプは特に悪タイプの攻撃技を1/4に抑えられる固有の性能が有り、一撃ウーラオスに対面から負ける事は一度も無かった。フェアリータイプでもある事からスケイルショットの起点にならない点も大きかった。

特にこの型にして恩恵が大きいと思ったのは毒テラスタル以外の対キョジオーン性能。以前の構築では対キョジオーンの為に選出を大きく歪まされる事が多かったが、この身代わりを採用した両刀型テツノブジンはタイプ相性上塩漬けやボディプレスを半減に抑えられるので確定的に身代わりを残す事が出来る。その上で叩き落とすで食べ残しを喪失させ、物理型と誤認させた後にムーンフォースで確実にキョジオーンを削っていく戦術が採れる。テツノブジンは基本選出の一角でもあるので対キョジオーンの為に選出を大きく歪まされる事は無くなった(一応毒テラスタルの可能性も考慮してサーフゴーを同時に選出する事も多いが)。

元来テツノブジンは有用な補助技を数多く覚える。その中でアンコールや道連れは凄く有名だ。だからこそ(特に初手の)身代わりの可能性に対戦相手は行き着かない。逆に身代わりを見せる事でアンコールや道連れを警戒する動きを行う対戦相手が実に多かった。その上、ムーンフォースを見せれば物理技の可能性を勝手に消すし、叩き落とすを見せればムーンフォースの存在を自然と消す。中には叩き落とすの被ダメージでマルチスケイル状態で無くとも次の攻撃を耐えられると解釈したカイリューがテラスタルを切らなかった為に、次ターンにこちらが放ったムーンフォースで倒れていくシーンが数回あった程だ。

現環境におけるテツノブジンの強みは『型の読み辛さ』、そして間違いなく種族値通りの『両刀』故。両刀型は調整が凄く難しく運用方法にも頭を悩ませる事が多いが、きちんとした調整・戦術を採用すればその実力を遺憾なく発揮してくれると今期テツノブジンと共に戦っていく中で実感した。筆者としてテツノブジンの可能性を少しでも示す事が出来たと自負している。

 

・パオジアン

災いの剣/意地/命の珠/炎テラスタル

159(28)-187(236↑)-101(4)-×-92(52)-179(188)

氷柱落とし/不意打ち/テラバースト/サイコファング

 

努力値調整意図

H:16n-1。

A:災いの剣補正と命の珠補正が乗った氷柱落としでH155B105炎オーガポンを75%の乱数1発。同氷柱落としでH197B147カイリューをマルチスケイル込みで確定1発。H219B141赫月ガチグマ(テラスタルで氷弱点を消している)へ99.6%の乱数2発。同条件のサイコファングでH175B120連撃ウーラオスを87.5%の乱数1発。同条件の炎テラバーストでH171B110アローラキュウコンを天候雪によるB上昇補正込みで確定1発。

H-B:A204カイリューの拘り鉢巻ノーマルテラスタル神速を87.5%で耐え。

H-D:C205赫月ガチグマの真空波を81.25%で耐え。

S:最速110族抜き。

※役割:2番手(テツノブジンで荒らしてからの高火力の押し付け)>初手(相手の構築にハッサムが居る場合は必ず。ガチグマが初手に出て来ると想定する場合も)>3番手(基本的に滅多に無い。流れ的にオオニューラが2番手として出た場合が殆ど)

 

災厄ポケモンの一角。その類稀な攻撃性能に惚れて運用を続けた。筆者としてはパオジアンというポケモンの実力が一番発揮出来るのは初手では無く2番手であると捉えている。気合の襷型では無いという要因が一番大きいと思っているが、パオジアンは相手に無理矢理テラスタルを切らせる、所謂『テラスタルの強要性能』がとても高いポケモンの1匹であり、この長所を可能な限り高めていく事がパオジアンの強さを伸ばす事に繋がると考えている。その性能を高めるには気合の襷では火力が足りないし、拘り鉢巻では柔軟性に欠ける。無論悪テラスタルの拘り鉢巻型であれば柔軟性なぞ吹き飛ばす超高火力を叩き出せるのだろうが筆者の手には馴染まないと踏んだ。

そこでHPが削られるものの技威力を1.3倍に増す命の珠を採用。特性災いの剣の実質1.33倍火力上昇と組み合わさる事でおよそ1.7倍もの火力補助をパオジアンに付与する事で、特化に近いA実数値も相俟って相手に想定以上のダメージを与える事が可能となる。

メインウェポンの氷柱落としは3割怯みの追加効果を備えながら特性&道具による火力補助で氷弱点を消したH振り赫月ガチグマをほぼ2発で倒せる火力を叩き出す。シーズン後半は怯みを嫌ってかガチグマ側がテラスを切りながら真空波でパオジアンを倒そうと画策する動きが見られ、こちらも耐久調整を施しているとはいえむざむざ4倍弱点の被ダメージを食らいたくないので止むを得ずテラスタルを切る事となったが、逆に真空波2発を食らう代わりにパオジアンが瀕死にならず、氷柱落とし2発で赫月ガチグマを倒せるのであればブラッドムーンで吹き飛ばされるよりも儲けものだとポジティブに解釈するようになった。

先制技は技威力の高さを優先し不意打ちを採用。サイコファングアローラキュウコンを筆頭とする壁構築への回答であり、オオニューラ・ドヒドイデ・イイネイヌ・連撃ウーラオス・毒テラスタルを切ってくる相手への有効打点として重宝した。気合の襷型パオジアンのサイコファングは余り脅威に感じないが、命の珠による火力補助を得たサイコファングは耐久無振りの連撃ウーラオスを高確率で吹き飛ばす程には脅威だ。

ラスタルは効果抜群となる炎・虫・鋼・フェアリー技を半減にする炎。数か月前からずっとパオジアンは炎テラスタルで運用しているが、構築記事記述時点では環境的に1%台しか存在しないようなので、まずこちらのパオジアンのテラスタルが相手に読まれる事は無かった。

炎テラバーストは構築的に重いハッサムアローラキュウコンを一撃で吹き飛ばす事を目的とする。これは構築段階で予め決め打ちしているテラスタルの切り方である。『初手にハッサムアローラキュウコンと対面する場合パオジアンは炎テラスタルを切り、炎テラバーストで相手のハッサムアローラキュウコンを一撃で粉砕する』。この取り決めを構築段階において想定しておく事で後の詰め方にまで思考を巡らせ、バトルに勝利する可能性を少しでも上げるよう努める。

特に本構築は壁展開が非常にキツい為、天候雪によるB上昇補正が存在するアローラキュウコンを上から一撃で倒す為には命の珠&特性災いの剣による火力補助を得たパオジアンの炎テラバースト以外の選択肢が存在しなかった。これも気合の襷型では炎テラバーストでアローラキュウコンを倒す事は出来なかった為に採用した道具に間違いは無かったと認識する。

 

・オオニューラ

軽業/意地/ノーマルジュエル/ゴーストテラスタル

175(156)-195(220↑)-81(4)-×-102(12)-155(116)

フェイタルクロー/インファイト/シャドークロー/猫騙

 

努力値調整意図

H:16n-1。

A:フェイタルクローでH155B105炎オーガポンを確定1発。ノーマルジュエル猫騙

&インファイトでH215B141赫月ガチグマを落とせる数値。ゴーストテラスタルシャドークローでHB極振りハバタクカミ確定1発。

H-D:C176テツノツツミの水テラスタルハイドロポンプ確定耐え。

S:軽業発動後S+1テツノツツミ抜き。

※役割:3番手(テツノブジンとパオジアンで相手のテラスタルを吐き出させた後のフィニッシャー)>2番手(流れ的に2番手にパオジアンを繰り出せない場合)

 

当初は後述のゴリランダーと組ませたグラスシード型だったが、各々が独立的に動いた方が強いと判断しノーマルジュエルを持たせた。それでも構築内にゴリランダーが居る事で相手に型誤認を与えやすく、これもまた後述のクエスパトラの道具や型を想定させない効果もあったと思われる。

これも筆者独自の捉え方だが、ノーマルジュエルを所持する特性軽業オオニューラは初手や2番手では無く3番手に繰り出す選出方法が一番強いと思っている。何故なら、オオニューラを繰り出す前に相手側にテラスタルを切らせておきたいからだ。

例えば、現環境において使用率1位のカイリューのテラスタルは構築記事記述時点ではノーマル・鋼・飛行・フェアリーがおよそ9割占めており、その内3つにオオニューラが弱点を突ける(唯一例外の飛行テラスタルはパオジアンで咎められる)。本構築ではテツノブジンやパオジアンがテラスタル強要性能を持つ筆頭格だが、可能な限りオオニューラを繰り出す前に初手ないし2番手の圧力で相手にテラスタルを切らせた後にオオニューラを繰り出し、テラス択を介させず最後の詰めとしてオオニューラの高火力を叩き込みたいわけだ。

今期は前期からの流れなのか悪タイプの躍進(具体的にはトドロクツキ)が目立ち、必然的にオオニューラの刺さりが凄まじく良くなった。鋼テラスタルトドロクツキならオオニューラでも弱点が突ける為、飛行テラスタルの可能性を鑑みオオニューラを繰り出す前にパオジアンの氷柱落としで倒すか、トドロクツキ以外のポケモンにテラスタルを吐かせて最後のオオニューラVSトドロクツキ対面でインファイトの一貫を作る動きを心掛けていた。

テツノブジンが格闘技を切った技構成になっている為、代わりに高火力格闘技を有するオオニューラの構築内における立ち位置は想像以上に高まった。

ラスタルはゴースト。カイリューの神速を回避する為であり、ゴーストテラスタルシャドークローでHB特化のハバタクカミを一撃で粉砕する為でもある。当然サーフゴーへの打点でもある。特性軽業を発動すればブーストエナジーを発動したテツノツツミやS二段階上昇最速カイリューも抜ける為、オオニューラの存在感は増すばかり。

最後にフェイタルクローの存在を語らないわけにはいくまい。オオニューラを最後の詰めとして運用する方法が一番輝くと言及した最も大きな要因がこの『何かしらの状態異常を5割で相手に与える』という追加効果が、試合展開における凄まじい上振れ要素となっているからだ。毒を引けば耐久型で粘ってくる相手を倒す事も出来、麻痺を引けばSダウン且つ3割で行動不能、眠りを引けば最大3ターン行動不能、いずれもここ大一番の最終局面で引いたら敗北に直結する(相手視点では)下振れ要素、こちら視点では逆転を含む勝利に大きく近付く上振れ要素によって勝利した数は片手に収まらない。強大な悪タイプや鋼・フェアリーテラスが良く見られる環境下におけるオオニューラの存在は凄まじく頼もしく、このポケモンが十全に働ける場を与える事がS12で筆者が上へ行く為に必要な仕事であったと今は考えている。

 

★『セレクト【C(Contact)】』:特殊火力重視型展開構築

・ゴリランダー

グラスメイカー/意地/達人の帯/岩テラスタル

185(76)-193(244↑)-111(4)-×-96(44)-123(140)

グラススライダー/10万馬力/テラバースト/挑発

 

努力値調整意図

A:岩テラバーストでH161B123炎オーガポン確定1発。H185B119オーガポンに180~211(97.3~114.1%。乱数75%)。H197B144カイリューをマルチスケイル込みで確定2発。グラスフィールド補正有グラススライダーでH131B135テツノツツミ確定1発。H175B121連撃ウーラオスに158~187(90.3~106.9%。乱数37.5%)。

H-D:C176テツノツツミのフリーズドライ確定耐え。

S:準速キノガッサ抜き。

※役割:初手(グラスフィールド展開&起点作りや害悪系の阻止係)>3番手(気合の襷イダイトウや連撃ウーラオスを仕留める係)

 

当初は前述のオオニューラと組ませた突撃チョッキ型だったが、各々が独立的に動いた方が強いと判断した。それでも構築内にオオニューラが居る事で相手に型誤認を与えやすく、後述のクエスパトラの道具や型を想定させない効果もあったと思われる。

特殊火力重視型展開構築におけるグラスフィールド展開係として重要な働きを負うだけでは無く、カバルドンやディンルー、遅いカイリューの変化技を封じるべく突撃チョッキ採用時代には搭載できなかった挑発を仕込んだ所ズバリ当たった。構築的に重めなラウドボーンの鬼火を始めSの遅いポケモンの変化技を封じ込み、後述のバトン展開に繋いでいく動きが強かった。

とはいえ解禁された炎オーガポンの存在に頭を悩まされ、耐久調整を施した炎オーガポンには岩テラバーストでも倒し切れない事が散見され「どうしよう?どうしよう?」と延々考え続けた結果、『展開役には起点にされないだけの火力は必須』という自論に帰り着き、命の珠はパオジアンに取られていた為、達人の帯を搭載したほぼA特化の達人の帯岩テラバーストで耐久調整を施した炎オーガポンも高確率で吹き飛ばせる型に変更した。

無論こちらの岩テラスタルを読んで草技を撃って来るプレイヤーも一定数存在したので物の見事に返り討ちを食らったが、「炎オーガポンが相手構築内にいてもゴリランダーを出せる」という心持ちが絶対的に必要だった。時折ねばねばネットを展開する為に初手に出て来る耐久調整型クワガノンを一撃で吹き飛ばす為の岩テラバーストでもあり、挑発を入れた後炎の渦やエアスラッシュを撃って来るカイリュー岩テラバースト2発によってマルチスケイル込みで倒せる事もあり、この選択に後悔は一切無い。

突撃チョッキ時代にはある程度HやDに努力値を割いていたがA特化に近い調整変更を行った為耐久力こそ落ちたものの火力増強の恩恵は意外に高く、ハバタクカミをグラススライダー2発で大体落とせる事に気付いて以降はゴリランダーへの信頼度は高まった。

10万馬力はけたぐりや叩き落とすとの選択ではあったが、毒テラスタルをしてくるポケモンへの有効打点が無いと話にならないとランクマ環境で戦っていて痛感したので採用。本構築では気合の襷型イダイトウはゴリランダーのグラススライダーで最後仕留める以外の方法が無い為、相手の構築にイダイトウが見えた瞬間ゴリランダーの選出は確定していた。

 

・クエスパトラ

加速/臆病/グラスシード/格闘テラスタル

191(164)-×-106(204)-133(92)-86(44)-138(4↑)

アシストパワー/テラバースト/瞑想/バトンタッチ

 

努力値調整意図

C:C一段階上昇後格闘テラバーストでH131D140イーユイを確定1発。

H-B:グラスシードによるB一段階上昇後A189 炎オーガポンのA一段階上昇炎テラスタルツタ棍棒確定耐え、A204カイリューのノーマルテラスタル神速をグラスフィールドのHP回復込みで3発耐え、A189パオジアンの拘り鉢巻悪テラスタル噛み砕くをテラスタル格闘になる事で2発耐え。

S:S一段階上昇後最速テツノツツミ抜き。

※役割:2番手(グラスフィールド展開後の抜きエース&サーフゴーへのバトン役)

 

レギュレーションB時代自身の腕が未熟で使いこなせなかったリベンジという意味も込めてクエスパトラを採用した。テラスタルは連撃ウーラオスや一撃ウーラオス、炎オーガポンの存在等々考慮し、熟慮に熟慮を重ねた結果悪タイプの攻撃技を半減にする格闘テラスタルに決定した。

碧の仮面で物理技を食らうとBが一段階上昇するアッキの実が解禁された事でアッキの実&瞑想羽休めクエスパトラが強いという評判を耳にし、その方向性でバトンタッチも採用した型を作ろうと色々思考した。

だが、バトンタッチを採用するとなると羽休めを入れるスペースが無い。攻撃技はアシストパワー以外のもう1つ(=格闘テラバースト)入れたかった為、回復技を入れるスペースが存在しなかった。食べ残しを持てば回復ソースを得られるが、今回食べ残しは別のポケモンに持たせる予定だった為に却下せざるを得なかった。

また、アッキの実は一度物理技を食らわないと発動しない点が不安要素になっていた。例えばA189パオジアンの拘り鉢巻型悪テラスタル噛み砕くは格闘テラスタルを切ったとしてもアッキの実を食べる前の被ダメージ(56.6~67.1%)とB一段階上昇後の被ダメージ(37.7~44.6%)を考慮すると乱数2発で突破される可能性が有る為確実性に欠ける。こちらが瞑想を1回積んだ後に格闘テラバーストでパオジアンを倒す事は出来るが悪タイプ相手に格闘テラスタルを切る以上、強制交代技でも無い限りバトン先の能力上昇を含め可能であれば瞑想は2回積みたい。「あーでもない、こーでもない」と考え続ける最中に、偶々構築内に居るゴリランダーとオオニューラを目にして少しボーっとした後に「グラスシードが余っているだろ!!」という気付きを得て、クエスパトラにグラスシードを持たせる運びとなった。

グラスシード発動により即B一段階上昇、グラスフィールド展開中はHPが1/16ずつ回復する、アシストパワーの威力加算が通常時より20多い等々の利点が有り、疑似的ながらもアッキの実+食べ残しの利点を初ターンから行使できる型となった。瞑想を複数回積む事でハバタクカミすら一撃で吹き飛ばすアシストパワーの超高火力を活かす特殊積みエースにもなれるが、このクエスパトラの本領はやはり後続へ瞑想加速バトンを行う2番手としての中継役にある。

・サーフゴー

黄金の体/控えめ/食べ残し/飛行テラスタル

181(156)-×-134(148)-174(44↑)-112(4)-124(156)

シャドーボール/ゴールドラッシュ/悪巧み/身代わり

 

努力値調整意図

B-C-D:バトンを受ける前提で実数値を全て偶数。特にB方面へ厚く割いた。

H-Bグラスフィールド展開時A204カイリュー地震グラスフィールド&食べ残しの回復量込みで3発耐え。

C:C二段階上昇シャドーボールでH227D141クレセリアを確定1発。

S:準速キノガッサ抜き抜き。3加速後S一段階上昇最速テツノツツミ抜き。

※役割:3番手(クエスパトラからのバトンを受け取った後のフィニッシャー兼ガチグマ&クレセリアトリックルーム展開軸にも積極的に選出)

 

ゴリランダー⇒クエスパトラと来て、最後の全抜きエースの役割を担うのがこのサーフゴーである。元来レギュBでレート2000取った折に採用していたサーフゴーは元々バトン構築における抜きエースの型を参考にしていた事もあり、クエスパトラと並び当時使いこなせなかったバトン構築のリベンジとして採用するに至った。

バトン構築の天敵である強制交代変化技を筆頭に殆どの変化技を特性黄金の体によってシャットアウトする、まさにバトン構築の救世主的存在でもあるサーフゴーを今回よりバトン仕様に調整を施した。テラスタル飛行グラスフィールドと組み合わせているので、サーフゴーのテラスタルが飛行であると想定していない動きをよく見た。

BCDSが上昇したサーフゴーに更なる全抜き性能を持たせるべく悪巧みを搭載。展開次第では瞑想を1回しか積めずにバトンされる事もある為、この悪巧みの存在は全抜きする為に必要な積み技だった。攻撃技はテンプレであるゴールドラッシュとシャドーボール。共に優秀な性能を備える攻撃技でCを高める事でその威力は更に輝きを増す。

身代わりはキョジオーンの塩漬けの定数ダメージを回避する他に、バトンを受け取った後にパオジアンや一撃ウーラオスの(拘り鉢巻型)不意打ちを避ける為の意味合いもある。この手のバトン型サーフゴーの変化技の構成として悪巧みの他に自己再生を入れているケースが多くあるが、今回は食べ残しを所持道具として採用しており、バトン時にグラスフィールドが残っていればHPを1/8も回復できる点を考慮し自己再生の採用を見送った代わりに身代わりを搭載する事で炎の渦等からも逃れられるようになり刺さりに刺さりまくった。

この身代わりはバトン選出以外でサーフゴーを選出した折にも役立った。例えば、相手の選出が攻め駒2枠@ママンボウだった場合、受け駒兼サイクル要因でもあるママンボウの前で身代わりを貼れば攻撃方面に努力値を割いていないママンボウの攻撃では身代わりを壊す手段がミラーコートしか無く、サーフゴーは身代わりを貼っている間に悪巧みを積む事で相手の裏ごとママンボウを粉砕する戦術を採っていた。

また、赫月ガチグマ及びクレセリアというトリックルーム軸にはサーフゴー単体で選出した。他のポケモンでガチグマにテラスタルを吐かせつつある程度消耗させサーフゴーを繰り出す。相手は後続のクレセリア等に交代するもこちらはガチグマの居座りもケアしながら飛行テラスタルを切りつつ悪巧みを積む。その後はクレセリアトリックルームを展開させない立ち回りを心掛け、身代わりや悪巧みを絡めながら相手の戦術を打ち砕いていく動きを心掛けた。加速バトンエースでありながらその真逆に位置するトリックルーム対策も同時に担うという希少な動きを遂行してくれたサーフゴーは本当に心強かった。

 

【選出】

物理火力重視の『セレクト【A】』、特殊火力重視の『セレクト【C】』という2つの基本選出を用意。まずは『セレクト【A】』で対応可能かどうかを思考し、次いで『セレクト【C】』で対応可能か熟慮、この2つで対応し切れないと判断した構築相手には『セレクト【A】』2体に『セレクト【C】』1体、もしくは『セレクト【A】』1体に『セレクト【C】』2体を加えた混成選出『セレクト【D】』を選出して対応を図った。

 

★基本選出『セレクト【A(Attack)】』:物理火力重視型対面構築

テツノブジン+パオジアン+オオニューラ

ブーストエナジーによるS上昇&身代わりによる様子見&叩き落とすによる妨害や両刀故の柔軟な攻勢を行えるテツノブジンを初手に置き、次鋒として命の珠&特性災いの剣による強大な火力補助を得たパオジアンによる、怯みや壁展開の破壊等の副産物を備えた攻勢で相手にテラスタルを強要させつつ中央突破を図り、終盤の締めとしてノーマルジュエル猫騙しによって自発的に特性軽業を発動後相手の上から5割の状態異常を備える毒技や高火力格闘技等を叩き込めるオオニューラを控えさせ、最終的に特性や種族値故の高い素早さ&強大な物理高火力を備えた対面構築で相手を押し切る。

相手の構築次第でテツノブジンの代わりにパオジアンやオオニューラを初手に繰り出すケースもある。その場合はプレッシャーを掛ける2番手に誰を持って来るか、誰を詰めとして残しておくか等を思考しながら対戦していた。

 

※対戦例1

自軍…テツノブジン・パオジアン・オオニューラ

相手…連撃ウーラオス・ハバタクカミ・カイリュー

 

ターン1:初手テツノブジンVSウーラオス対面。こちらのテツノブジンの型が物理型か特殊型が判明していない時点で相手視点では裏に控えるハバタクカミ(物理型の場合ダメージ大)やカイリュー(マルチスケイルを削りたくない)へ交代し辛い為、水テラスタルを切り水流連打による強行突破を選択。こちらはムーンフォースを選択しウーラオスのHPを6、7割削りつつ耐久調整によって水流連打を凌ぎ切る。また、ウーラオスの所持道具を拘りスカーフと断定。

ターン2:テツノブジンが特殊型であると『誤認』した相手はハバタクカミへの交代を選択。こちらは安定択のムーンフォースを選択しハバタクカミのHPを3、4割削る。この時ブーストエナジーを消費しなかったので拘り眼鏡や木の実系統の道具所持と断定。

ターン3:テツノブジンへゴーストテラスタルを切り、物理ゴーストテラバーストを選択しハバタクカミに仕事をさせずに速攻で倒し切る。

ターン4:相手はカイリューを繰り出し、こちらはムーンフォースでは無く叩き落とすを選択。相手のゴツゴツメットを叩き落とし型を判別、ゴツゴツメットの被ダメージでテツノブジンは落ちる。

ターン5以降:こちらはパオジアンを繰り出す。カイリューへは氷柱落とし、水テラスタルを切ったウーラオスは不意打ちで縛っているので数ターン経過後こちらの勝利となった。

 

※対戦例2

自軍…テツノブジン・パオジアン・オオニューラ

相手…パオジアン・サーフゴー・カイリュー

 

ターン1:初手テツノブジンVSパオジアン。相性的に不利と判断した相手はテツノブジンに役割を遂行できるサーフゴーへ交代。こちらはパオジアンを気合の襷型と推定し、素直にムーンフォースを選択。

ターン2:サーフゴーへのムーンフォースの与ダメージが2割弱程しか入らなかった事から相手のサーフゴーは耐久調整を施した拘り眼鏡型かゴツゴツメットを所持する電磁波&祟り目型であると断定。更なる型判別の為に身代わりを選択。サーフゴーが電磁波を撃って来た為後者の型であると推定。電磁波は身代わりによって回避。

ターン3:叩き落とすを選択し相手のゴツゴツメットを叩き落としサーフゴーの残存HPは5割弱となる。サーフゴーは祟り目を選択しこちらの身代わりを破壊する。

ターン4:道具を喪失した状態での叩き落とすではここからサーフゴーを倒す事はできず、サーフゴー側のテラスタルや再度電磁波の選択等々の可能性も鑑みもう一度身代わりを選択。相手はゴールドラッシュを撃ち身代わりは消えるもののこの時点で相手にテラスタルを切る選択肢は無いものと断定。

ターン5:テツノブジンにゴーストテラスタルを切り、物理ゴーストテラバーストにてサーフゴーを倒す。

ターン6:パオジアンに不意打ちが無かったのか3体目のカイリューが繰り出された。こちらは型判別の為に叩き落とすを選択、カイリューは飛行テラスタルを切り、飛行テラバーストでテツノブジンを落とす。叩き落とした道具は拘り鉢巻。テツノブジンがゴーストテラスタイプになった事で拘り鉢巻神速を撃つ事が出来ずテラバーストを選択したと推察。

ターン7:こちらはパオジアンを繰り出す。相手視点ではパオジアンが気合の襷を所持している可能性を鑑み、また氷柱落としをパオジアンに交代して受ける場合相手側もまた気合の襷を無駄にしてしまう事となる為、拘り鉢巻を喪失して技選択が自由となったカイリューは神速を選択しパオジアンのHPを4割前後削る。こちらは氷柱落としを選択しカイリューを落とす。この時命の珠の反動ダメージ発生によって相手視点でこちらのパオジアンの所持道具が気合の襷では無かった事が判明する。

ターン8:相手はパオジアンを繰り出す。こちら視点では相手のパオジアンを気合の襷型と推定している為不意打ちを選択、相手のパオジアンの気合の襷を無効化しつつ返しの聖なる剣によってこちらのパオジアンは倒される。

ターン:9:こちらは3体目のオオニューラを繰り出す。相手視点ではテツノブジンとパオジアン選出が見え、グラスシードコンボの為に必要なゴリランダーが居ないと推定した時点でオオニューラの選出は予想外だった可能性がある。特性軽業を発動する為、ノーマルジュエルを消費しつつ猫騙しで相手のパオジアンを怯ませる。

ターン10:特性軽業を発動しSが倍化したオオニューラのインファイトでパオジアンを倒して勝利。

 

★基本選出『セレクト【C(Contact)】』:特殊火力重視型展開構築

ゴリランダー+クエスパトラ+サーフゴー

初手ゴリランダーでグラスフィールドを展開、特性加速によるS上昇&グラスフィールドによるHP回復&グラスシード発動や瞑想を積む事によるクエスパトラのアシストパワーの高火力を押し付けながらアンコール等の阻害技や神速を筆頭とする強力な先制技を避ける為にサーフゴーへバトン、最終的に加速瞑想バトンで上昇した素早さ&悪巧みも加えた超特殊高火力で全抜きを狙う。

相手のウーラオスが連撃の場合はゴリランダーが抑制、一撃ウーラオスの場合はテラスタル格闘クエスパトラで対応可能。グラススライダーを有するゴリランダーを初手で切らずに最後の詰めとして残す動かし方もある。万が一バトンが出来ない場合でも身代わりと悪巧みを持つサーフゴー単体で相手を詰めたケースが数回あった。

 

※対戦例3

自軍…ゴリランダー・クエスパトラ・サーフゴー

相手…連撃ウーラオス・パオジアン・サーフゴー

 

ターン1:初手ゴリランダーVSウーラオス対面。こちらはグラススライダーを選択しウーラオスのHPを9割削る。ウーラオスはアイススピナーを選択しゴリランダーのHPを6~7割弱削りつつグラスフィールドを破壊する。

ターン2:ゴリランダーからサーフゴーへ交代。ウーラオスインファイトを選択するもサーフゴーで無効化する。この時点でウーラオスの所持道具を気合の襷と断定。

ターン3:ウーラオスは水流連打では無くアイススピナーを選択。こちらのゴリランダー引きを見越した上での選択。サーフゴーでアイススピナーを受け返しのシャドーボールでウーラオスを倒す。この時サーフゴーの食べ残しが発動した為、相手側はサーフゴーの型が予想出来る

ターン4:相手はパオジアンを繰り出し噛み砕くを選択。こちらはゴリランダーへ交代し、再びグラスフィールドを展開しつつパオジアンの攻撃で落とされる。

ターン5:クエスパトラを繰り出しグラスシードでB一段階上昇。パオジアンの噛み砕くを受け切る為に格闘テラスタルを切って瞑想を選択。相手側は食べ残しサーフゴー選出も踏まえこちらのバトン戦略を完全に察知し、積まれる前にクエスパトラを粉砕するべくパオジアンに悪テラスタルを切って噛み砕くを選択。エスパトラのHPを4割強削られた瞬間パオジアンの所持道具を拘り鉢巻と断定。

ターン6:クエスパトラは2回目の瞑想を選択。相手は格闘テラバ―スト警戒でパオジアンからサーフゴーへ交代

ターン7:サーフゴーの拘り眼鏡ゴールドラッシュを警戒し3回目の瞑想を選択。サーフゴーはトリックによって拘り眼鏡をクエスパトラに押し付けこちらの行動を制限する戦術を行使。クエスパトラが格闘テラスタルを行使した以上、相手はアシストパワー以外のクエスパトラの攻撃技を格闘テラバーストのみであると踏み、アシストパワーはパオジアンで、格闘テラバーストはサーフゴーで無効化する駆け引きを仕掛けて来た。

ターン8:瞑想を3回積んだ事により相手のサーフゴーのシャドーボールで弱点を突かれても被ダメージを抑えられると判断し、こちらはバトンタッチで後続のサーフゴーへ加速瞑想バトンを行使。相手はこちらのバトンタッチの可能性も考慮した上でサーフゴーからパオジアンへ交代

ターン9:パオジアンは拘り鉢巻悪テラスタル不意打ちを選択。相手視点では、グラスシード発動によってBが一段階上昇していてもこの不意打ちによってサーフゴーは倒せるという判断(実際A172拘り鉢巻悪テラスタル不意打ちが93.75%の乱数1発。A特化なら確定1発)。一度拘り鉢巻悪テラスタル噛み砕くを見せている以上、不意打ちの可能性が過ぎってもバトン型によく搭載されている自己再生等は選択しにくいという駆け引きの妙も垣間見える。しかし、こちらは『構築再編成時点でこういうケースも想定』した上で搭載した身代わりを選択し不意打ち(及び不意打ちor噛み砕くという駆け引きそのもの)を回避する。

ターン10:相手の降参によって勝利。

 

★混成選出『セレクト【D(Dual)】』:局所対応重視型混成構築

以下は上記の基本選出で対応し切れない構築に対する選出例の一部である。

 

パオジアン+@2(テツノブジン、オオニューラ、ゴリランダー、サーフゴーから2体選出)

ハッサム構築。構築的に相手の初手がハッサムになる確率が高い為パオジアンは初手に出す。アローラキュウコンが居る場合もパオジアンが初手になる事が多い。

初手のハッサムアローラキュウコンの裏に控えているポケモンは命の珠&特性災いの剣を有するパオジアンの想定以上の高火力を前にテラスタルを切らざるを得ないケースが多い。特にオーロラベールによる積み展開を想定していた構築の場合、後ろに控えている積みポケモン(カイリュー、トドロクツキ、赫月ガチグマetc)がパオジアンに弱点を突かれるタイプである事が一定数見受けられる。そこで鋼・ノーマル・フェアリーテラス等を切らせればこちらの後続として控えているオオニューラの刺さりが良くなるという対戦が多かった。これは命の珠&特性災いの剣を有するパオジアンのテラスタル強要性能が高いが故の戦術とも言えるだろう。

 

ゴリランダー+@2(テツノブジン、パオジアン、オオニューラから2体選出)

相手の初手が連撃ウーラオスもしくは起点作り・害悪係と想定される展開でテツノブジンを初手に置かないケース。ウーラオス側がアイススピナーを搭載している可能性も鑑み、グラススライダーを撃つ事でウーラオスのHPを最低でも9割前後削る立ち回りを採る。ハバタクカミが初手に出て来る場合も想定。大体グラススライダー2発で倒せる事が多かった。炎オーガポンの場合は(止むを得ず)テラスタルを切る事も想定。こちらの岩テラスを読んで草技を撃たれて返り討ちにされる事もしばしばあったが、ツタ棍棒を撃って来た時のアドバンテージが大きいので大概は迷わず岩テラスで返り討ちを仕掛けた。また、ねばねばネット展開を狙うクワガノン相手にも積極的に岩テラスを切って一撃で吹き飛ばしに掛かった。

 

@2(テツノブジン、パオジアン、オオニューラから2体選出)+ゴリランダー

対イダイトウ構築。相手の3番手に出て来る気合の襷イダイトウを想定しゴリランダーは原則最後まで残す。この手の構築は対面構築に分類される事が多く初手テラスでこちらの初手を吹き飛ばしに掛かるケースも多かった為、数的不利を取られないように初手及び2番手に選出したポケモンを駆使し、テラスも絡めて立ち回りながら何とか最後に出て来る襷イダイトウに僅かでもダメージを与えた後に3番手として繰り出すゴリランダーのグラススライダーを通す事を心掛けた。

 

@2(テツノブジン、パオジアン、オオニューラ、ゴリランダーから2体選出)+サーフゴー

対赫月ガチグマ+クレセリア構築。赫月ガチグマ視点で弱点を突いてくる4体を前面に出してテラスタルを強要させながら悪巧み及び身代わりを搭載する飛行テラスタルサーフゴーを通して相手のトリックルーム展開を阻害する。ガチグマをある程度削った後にサーフゴーを繰り出し、相手が後続(クレセリア)に交代時にこちらも飛行テラスを切りながら悪巧みを積み、クレセリアトリックルームを展開させる暇を与えず控えに戻ったガチグマ諸共薙ぎ倒す戦術を心掛けた。この手の構築は如何にクレセリアにテラスを切らせないか』に掛かっていると捉えている。

 

【苦手なポケモン・構築】

・初手テツノブジンorゴリランダー選出時の炎オーガポン

テツノブジン側から2発で倒せる有効打が存在しない為。身代わり連打でこちらの道連れを警戒してくれる事を願ったプレイングを心掛ける。深読みして裏のサーフゴーに交代してくれた時は叩き落とすを入れられて凄く助かっていた。ゴリランダーと初手対面した時は「『初手からテラスを切らないだろう』と読んでツタ棍棒を打ってくれ!」とお祈りして岩テラバーストを打っていたが草技を打たれた事も一定数あった。

逆に初手にオオニューラやパオジアンを選出した場合はそこまで困らず処理できていた。しかし、相手の構築にウーラオスやハバタクカミ辺りが炎オーガポンと共存していると中々この2体を初手に置きづらい事もあって全体的には苦戦していた。逆に2番手以降に出て来る炎オーガポンには、こちらの2番手以降にパオジアンやオオニューラが控えていたので然程苦戦しなかった。

 

・ドラパルト

鬼火や電磁波を撃って来る気合の襷型ドラパルトには何度も苦戦を強いられた。こちらの技を襷で耐えて状態異常にして来るのでしんどかった。

 

・ソウブレイズ

特性砕ける鎧&気合の襷型とは構築的に相性が悪かった。岩テラスタルゴリランダーの岩テラバーストとグラススライダーで何とか倒す、或いは一度交代させてS上昇を無効化する方法くらいしか対応できなかった。

 

・受けループ

特にヘイラッシャとハピナスが構築に居る受けループには勝てない。サーフゴーの悪巧みゴールドラッシュの急所をお祈りする他無し。

 

【レート・順位】

・最終レート

☆TNシ・ルナミス:2003

 

・最終順位

 

以下敬体。一部常体。

 

 

【終わりに】

ポケモンSV2回目のレート2000達成する事ができ大変嬉しく思います。テツノブジンを始め構築内のポケモン6体全てがランクマ環境で躍動する姿が何より喜ばしかったです。

現環境において最上位層のポケモンが構築の大半を占める、或いは全てをそれ等で賄っている構築が散見されます。かくいう筆者も前回レート2000を達成した折にはカイリュー・ハバタクカミ・サーフゴー・テツノツツミ等を構築に入れて戦っていました。

シーズンを経る毎につれ、最上位層に座するポケモンの顔ぶれに少々の変化はあれど相も変わらず強大な実力を発揮する一握りのポケモンは、運用する実力者の下様々に型を増やし、色々な戦術を携え増々その座を揺ぎ無いモノにしております。

しかしながら、果たしてそんな最上位層のポケモンばかりに『構築』の殆どを頼らなければレート2000を達成する事はできないのでしょうか?誰もが「カイリューを使わなければ!!」「ハバタクカミを!!」「オーガポンも!!」「赫月ガチグマも構築へ!!」等々ばかりに囚われる必然性は無いと思うのです。

自分自身が「キミにきめた!」と選択したポケモン達と共に頑張って結果を出す為に試行錯誤を繰り返す。そのポケモンが最上位層だろうがそれ以外だろうが繰り返す試行錯誤は同様に。それがポケモンバトルの醍醐味の1つであると筆者は捉えています。

筆者自身前回のレート2000から今回のレート2000を達成するまでおよそ7カ月もの時間を要しました。『目に見える成果こそ出ていなかったものの、ここ数カ月運用して手馴れていた多くのポケモン達の、今期における環境への刺さりが凄く良くなった』という、ある意味身も蓋も無い外的要因が幸運を呼んだという側面も否定できません。唯、これはポケモン対戦で結果を出す為には近道もあれば回り道もあるし、遠回りという順路も確かに存在する事の証左でもあると思うのです。

頑張れば必ず成果が出るわけではありません。勝つ事もあれば連敗を重ねてしまう事もあるでしょう。納得のいかない対戦を前に苛立つ事も、構築作りに困り果てどうしたら良いかわからず袋小路に迷い込んでしまう事もあるでしょう。それでも!「自分が試行錯誤を繰り返した末に編み出した戦術・型を携えたポケモン達と共に上へ!!」。この想いを忘れない限り目の前の対戦へ臆せずに臨めると信じています。

では、この辺りで筆を置かせて頂きます。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。そして、SVS12で対戦して下さった皆様本当にありがとうございました。